パートタイマー就業規則は必ず作成しましょう。

パートタイマー従業員の方との労働条件等に関するトラブルは非常に多くなって来ています。パートタイマーの労働条件は個別契約で済ます、という会社は結構多いものと思われます。ひどい話になると口約束だけで済ましているケースもあるようです。ケガ、病気、あるいは退職時になると、曖昧に済ませていた口約束が、お互いの都合の良い解釈をすることにより、大きな問題に発展することになります。労働問題のトラブルの90%以上がケガ、病気、退職時に発生すると言われていますので、その時に備えた対策が必要です。

また、こんなトラブルが考えられます。

ある会社B社で、60歳を超えた高齢者Aを新規採用しました。B社は、Aを採用するにあたり、退職金を支払わない旨の労働契約を交わしています。その後、約7年間勤務したAは退職することになりましたが、就業規則(正社員用の就業規則しかない)に定めのある退職金をB社に請求してきました。

B社がこれに応じなかったため裁判になりましたが、

  1. 就業規則の対象者を正社員と高齢者とを区別していない
  2. 当該就業規則は全従業員に適用するとなっていた

ので、結局B社はAに退職金の支払をするように命じられました。

いくら、労働契約で退職金を支給しないとしていたとしても、就業規則にはっきりとその者が支払対象にならない旨の定めがなければ、結局は支払わざるを得ない結果になることがあります。(労働契約の効力よりも就業規則の効力が強いと言うのが通説)

このようなときは、どのように対応しておけばよかったのでしょうか。

まず、この対策としては、パートタイマーの定義、位置づけを明確にした「パートタイマー就業規則」等を作成し、その中で明確に「退職金は支給しない」旨の規定をしておくことが肝要です。

なお、「パートタイマー就業規則」も本体の就業規則と一体をなすものですから、その制定、改定にあたっては、過半数代表者等の意見聴取が必要ですが、パートタイム労働法上、努力義務としてこれとは別に、パートタイマーの過半数を代表する者の意見聴取をするように規定されていますので、関心のある方は当事務所にご相談してください。

パートタイマーの雇用期間及び更新について

正規従業員と非正規従業員を区別するために、通常、非正規従業員を有期雇用契約にするのはいろんな点で効果的です。

ただし、ここで注意しなければならないのは、単に「パートタイマー就業規則」において「雇用期間は○年とする」と定めただけでは不十分だということです。

雇用契約書等、書面で本人に通知しなければなりません。

また、よくあるケースですが、雇入れをしたときだけ「雇用期間は1年間とする」という雇用契約書を交付したが、その後は何の更新手続きをしていない、いわゆる“自動更新”になっている場合です。この状態であれば、最初の1年間だけは有期雇用期間であり、その後は「期間の定めのない雇用に変わった」と判断されますので、少々面倒ではありますが、後々のトラブルのことを思えばきちんと更新の都度、新たに雇用契約書を取り交わすようにしてください。

なお、パートタイマーの雇用期間ですが、1年単位のところが多いようですが、半年ごとの期間更新も有効かと思います。業種、会社事情にもよりますので一概には言えませんが、今の時代、1年間というのは予測がつかない状況が発生する可能性があるからです。

その他、有期雇用契約にした場合、会社側にとって有利な面が多々あります。

例えば、労働条件の見直しがやりやすくなるという点です。

最初の半年間 時給800円 1日5時間勤務 社会保険なし。
次の半年間 時給1,000円(チーフ手当200円含む) 1日7時間勤務 社会保険あり。
その次の半年間 時給800円 1日5時間勤務 社会保険なし。

この事例は「1日5時間勤務のパートタイマーとして採用した人が、能力を見込まれてチーフになり、1日7時間勤務するようになった。」

しかし、「その後、チーフになったものの、それに見合う成果が発揮できず、降職になり、再びもとの労働条件にもどった」と言うケースです。

有期雇用契約は、更新にあたってはそれまでの労働条件は一旦破棄され、新たな労働契約が締結されるわけですから、このような労働条件の変更が比較的容易にできることになります。

また、雇用期間が6ヶ月であれば6ヶ月ごとに面接することになると思いますが、面接することによりその人が日ごろ何を考えているのかを聞きだせるし、あるいは、正規従業員とは違った視点での貴重な意見を聞けるかも知れませんので、そういう点でも効果的だと思います。